世界一周をしたら、月間200万人が利用する旅メディアの編集長になった話

「世界一周」と聞くと、TABIPPOという会社を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

TABIPPOはもともと、世界一周をした大学生が立ち上げたサークルだった。

サークルから法人へ。

一体どんな経緯があって、彼らは若者に「旅をしよう」というメッセージを伝え続けているのだろう。

月間200万人が利用する旅行メディア「TABIPPO.NET」の編集長である創業メンバーの1人、前田塁さんに話を聞いてきた。

ニューヨーク留学中の旅好き仲間との出会い

TABIPPOのロゴプレートと前田塁さん。

ー前田さんは、学生時代に世界一周したのですよね。

はい。世界一周の前に、実は交換留学で、1年間ニューヨークに行ってたんです。僕が地方出身なので、東京への憧れから東京の大学に入ったんですけど、2年くらい経って慣れちゃって。どうしようかなという感じで自分の身の回りの環境を変える為に、ニューヨークへ留学することにしました。そのニューヨーク留学が、世界一周とTABIPPOを立ち上げる大きなきっかけになりましたね。

ーなぜ、ニューヨークに?

そんなに深い理由ではないのですが、東京よりも大きな都市へ行こうと思っていて、となるとニューヨークとロンドンくらいしか思いつかなくて。たまたま入学試験が受かったのがニューヨークだったので、ニューヨークに決めました。

ーニューヨークでの留学が終わった後に、世界一周をしたのですね。

そうですね。正直、世界一周を始めた明確な目標は当時はありませんでした。なんとなく、交換留学から帰国した後にやることも見つからなかったし、日本へ帰国する航空券も高い。だったら、世界一周しながら日本に帰ろう、くらいの勢いで、世界一周することを決めた感じですね。

ーTABIPPOのメンバーとは、世界一周中に出会ったのですか?

ニューヨーク在学中に出会いました。創業メンバーがあと2人いるんですけど、彼らの方が世界一周のスタートが早かったので、僕の留学先であるニューヨークに来てくれて。

ーすごい素敵な出会いですね。どのようにして繋がったのでしょう。

みんなブログをやっていて、それで連絡を取り合っていたんですよ。2010年頃ですからね。大学生で世界一周している人も珍しくて、ブログくらいしか共通点がなかったですね。当時はネットに世界一周の情報も少なかったので、世界一周ブログをやっている人に直接連絡して気になる事を教えてもらったりもしてました。

ー海外にはもともと興味があったのですか?

そうですね。僕の名前って「塁(ルイ)」って言うんですけど、その名前の由来が「海外でも通じる名前にしたい」って父親がよく言っていたので、それでずっと意識していた感じはありますね。

ー海外に対して怖いというか、何かハードルはありましたか。

ありました。でも、ニューヨークで1年過ごしたことでだいぶ自信がついたんですよ。その自信があったので、世界一周に踏み切る事が出来ました。ニューヨークでの1年がなかったら、世界一周もしていなかったかもしれないし、彼ら(創業メンバー)にも出会っていなかったですね。

当時の事を振り返りながら丁寧に答えてくれる前田さん。

世界では、起業は「当然のこと」

ーニューヨークでの経験が今の前田さんに繋がっているのですね。世界一周をして、一番心に残っていることは何でしょうか。

イースター島の当時19歳だったブラジル人のイアン君という男の子との出会いですね。その子、事故で喉を怪我していて、ほとんど喋れなかったんですよ。基本筆談と唇の動きで会話してました。でも、若くしてすでに1〜2年世界を旅をしていて、仕事もしている。言語が喋れないというハンディなんて気にしている様子もなくいい意味で人生謳歌していて、世界にはこんな人もいるんだなぁと思いましたね。

あ、あと場所として印象に残っているのはインドです。

インドでは、道端で日本のビールの売り子さんみたいな感じでチャイを売っている人たちが沢山いて。雇われているのではなく、個人事業主で、自分でチャイを仕込んで、それを売って・・・みたいな感じなんで、おそらく「起業家」というか1つの「ビジネスオーナー」なんですよね。それを見た時に、会社を作るとか独立するって、日本だとすごい大それたことに捉えられると思うのですが、インドだと皆当然のようにそうなってるんだなーと感じて。だったら、あまり意識しすぎずに、やりたいことをやった方がいいなって思いました。

ーその原体験が、今の起業に繋がっているのですね。

そうですね。インドでの経験が起業のハードルをだいぶ下げてくれました。

でも、TABIPPOはもともと起業するつもりとかはなくて、最初は大学のサークルだったんですよ。

起業する気はなかったという。

サークルから起業へ

ーサークルから始まる会社って珍しいですよね。どういう経緯で法人化されたのですか?

創業メンバーとニューヨークで出会って日本に帰国した後、まだ大学生だったので、サークルとしてTABIPPOを立ち上げました。卒業後もビジネスにするつもりは全くなくて。平日の夜と土日にボランティアみたいな感じでやっていたんですよ。それでもみんな楽しくてこのまま趣味として続けていきたいな、という感じで。

そのときのTABIPPOは、僕ら創業メンバーが常にいて、その下の代の人たちは大学生なのでどんどん世代交代していたんですね。で、4期目くらいかな。大学生たちが僕らより良いイベントをやって、超えられてしまったなと感じることがありまして。

それって、僕らは自分が普通に働いている会社があって、フルコミットできてないからだよね、ってなって。だったら、せっかくだからTABIPPOを株式会社にして、これで食べていくのもありなんじゃないかっていう話にたまたまなって、法人化したという流れです。

ー旅で出会った人たちと仲間になって、自然な流れで起業して、ってとても素敵な成り行きですね。

そうですね。当時は学生起業ブームでしたけど、僕ら「起業するぞー!」みたいなのは特になくて本当に流れでって感じで。自分たちのことをスタートアップとも思っていないんですよ。いわゆるバイアウトとか上場とか、皆が興味のない状態でした。なので役職を決める時も、当時やらなきゃいけないことを3人で話し合って、分担して決めました。社長の清水が「営業をやる」と。で、もう1人の共同創業メンバーである小泉が、年1回の大きなイベント運営を担当していたので、そのまま「イベントを担当する」と。で、最後に残った僕は、TABIPPOはソーシャルメディアが強いと言われていたので、ソーシャルの運営と公式ブログをやろっか、みたいな。

オフィス壁に飾ってあるメンバープロフィール。

「旅と若者」を軸に、旅に行く若者を増やしたい

ーでは、今TABIPPOで行なっている事業についてお伺いできますか?

現在は4つの事業をやっています。webメディア、イベント運営、書籍・雑誌販売、採用事業です。

webメディアは一番有名だと思うんですけど、「TABIPPO.net(https://tabippo.net/)」という若者向けの旅行メディアですね。

イベント運営は、「旅大学(http://tabi-daigaku.jp/)」という中小規模のイベントと、フェスを夏冬に年2回開催してます。

書籍・雑誌販売は、「PAS-POL(http://pas-pol.jp/)」というブランドで、写真集、旅行エッセイ、雑貨などを制作、販売しています。

採用事業は「旅人採用(http://tabibito-saiyo.com/)」という旅好きな若者に就職先を紹介する事業をやっています。

ー幅広く活動されているのですね!これら4つの事業は、どのような軸で展開しているのでしょうか。

「旅と若者」という軸で展開しています。

僕たちの基本的なスタンスって「旅っていいよね」ってことを伝えたいというのが一番大きいんですよね。自分たち自身が、世界一周が自分の人生の大きなきっかけになったという経験があるので。

もちろん、世界一周が偉いとか絶対全員した方がいいとは思ってないです。合わない人や興味のない人もいる、ということが前提です。でも、僕たちが一番プレゼンしたいのは「世界一周」「旅」なんです。そうなると、僕らはそれを推すしかないじゃないですか。で、それ(プレゼン)を聞いた結果、行きたいのであれば、できる限りのサポートはしてあげたい。

ーなるほど。いいと思ってるから伝えるけど、その後の判断は自分たちで決めてくださいってことですね。ちなみに、4つ目の採用事業はどういうことをしているのですか?

4つ目の採用事業については旅人のアフターフォローです。

世界一周した若者ってそのあとの就職にすごく迷う傾向があるんですよね。なんでかっていうと、選択肢が多すぎるから。世界を見てきたから日本に働くだけじゃなくて、途上国で働くとか、先進国で働くとかも見えてくるじゃないですか。選択肢が多いのは良いことだけど、その分何を選んだら良いかわからなくなってしまうので、僕らでそれを後押ししているって感じです。

これまで販売した書籍や雑貨がずらり。

「皆、旅に行きましょう!」という独自の働き方

ー現在TABIPPOでは何名の方が働かれているのでしょうか。

社員が13名、インターンも19名で、Backpack FESTAに向けて準備するメンバーが全国に450名ほどいます。総勢500名ほどがTABIPPOです。

ーそんなにいるのですね!組織として、TABIPPOらしい働き方、取り組みはあるのでしょうか。

僕たちは、社員も含めて「皆、旅に行きましょう!」っていうのが決まっているんですよ。それを達成するための働き方です。だから、時間や場所はあまり拘束していないですし、いろんなことを皆でフォローし合いながら働いています。

僕たちは、ただ会社を成功させたくて起業したわけではないので、「旅っていいよね」って言ってる僕らが渋谷から出れない、日本からでれないっていう働き方はとりあえず絶対やめましょうと言っています。隙をみて仕事を終わらせて、社長であれ、僕らメンバーであれ、インターンであれ、海外じゃなくてもいいんですけど、今の場所ではないところに行くっていうのを推奨しています。

自由な雰囲気が漂う渋谷にあるオフィス。

国による人の違いって結局ないんじゃないか

ー旅を推奨する働き方、なんだか自由な社風で素敵ですね。旅を推奨する姿勢を貫く中で、海外や世界一周を行うことを躊躇う若者に対して何か後押しするとしたら、どのような言葉を送りますか。

怖がる必要はないよってことですね。

海外に行く時の一つのハードルって、日本と違うところに行くことが怖いみたいな、感情的なハードルがあると思います。でも僕は、世界中のさまざまな場所を訪れる経験を通して、国や地域で人々が大きく異なることはないと知りました。

ニューヨークの留学中に、そのことを一番実感したんですけど、当時の僕のアメリカの学生のイメージって、日本の大学生と比べてすごく勉強しているという印象があって。でも実際見てみると、奨学金の為に勉強してる人、純粋に勉強している人、一方で全く勉強していない人もいたりして。なんかそうなると、アメリカだから、日本だからっていうよりも結局、一個人として向き合った場合、そりゃそうだよな、みたいな。笑

旅をしていても結局、どこの国でも良い人も悪い人も存在していて。ってことは、その国の良し悪しって、最初に出会った人が良かったかどうか程度で案外決まってしまうなと。となると、国として何かこう「この国はこうだ」と決めつけることが無くなったんですよね。

だからこそ、日本と違うから怖いみたいなハードルは感じる必要がないと考えています。

個人的には、ニューヨークに行ってみるのがおすすめですね。

ニューヨークには、140ヶ国以上の人がいるんですよ。世界には200カ国くらいありますけど、そのうちの7割の人は物理的にニューヨークに来れるってことですよね。そこからどうなるかは人それぞれですが、(その事実を知ると)そこまで、道は絶たれちゃないってことを実感できるんじゃないかなと。

人生でやりたい事リストを作る大切さ

ー様々な国を訪れたり文化に触れていることで、とてもフラットに物事を捉えられている印象を持ちました。最後の質問になりますが、そんな前田さんにとって「人生」とはなんでしょうか。

難しい質問ですが、「やりたいことリストの達成」ですかね。

「死ぬまでにやりたいこと」を描きためたリストを持っていて、全部で1000項目あります。これが全部終わればもうオッケーです、人生は。これが終わるように生きていきたいし、これが終わるような自分になっていきたいなというのが、基本的な姿勢です。

初めは100のリストだったという前田さん。7年の月日をかけて1000のリストに至った。

ルイスさんの1000のリストはこちらからチェック http://ruimaeda.com/dreams/

ー旅し続けることで、新しい概念に触れ続ける前田さん。取材班もオフィスに戻って「人生でやりたいことリスト」を作成してみました!これを読んだみなさんも、是非やってみてください~!

7,000人以上の旅好きが集まる旅フェスが今年もやってきた!!!

今回取材させて頂いたTABIPPO主催のフェスティバル「旅祭」が今年も開催決定

公式サイト:http://tabimatsuri.com/2018/

旅祭は「旅」をテーマにした野外フェス。今年で13年目を迎えます。昨年は7,500人を超える旅人、旅を愛する人たちが全国から集まるフェスになりました。今年は初の2DAY開催! 宿泊できるキャンプインエリアの展開も予定しています。 ひとりでも、友達とでも、カップルでも、家族でも。旅のスタイルに決まりがないように、自由に、好きなことを、好きなだけ楽しむことができる野外フェス。まるで世界中を旅しているかのように、刺激的で、自由な1日を、お楽しみください。

旅祭オフィシャルサイトURLはこちらから
http://tabimatsuri.com/2018/

マンネリした日常に、1週間ルームシェアでちょっと刺激を

会社に通う日常生活を変えずに、帰る家だけ1週間変えてみませんか。普段関わりのない人たちとの期間限定の共同生活は、旅に行って得られる新しい発見と似ている気付きを得る事が出来るかもしれません。

次世代のライフスタイルをシェアしよう