500の植物と暮らす「エコモデル」の意思を貫き通すチカラ

好きなものに囲まれた暮らしに憧れを抱く人も多いのではないだろうか。こだわりを持った生活を送ることは、実際とても気持ちがいい。

お洒落エリアとして注目されている、ニューヨークのブルックリン。

そこに、ジャングルのような部屋で暮らす女性がいるとの情報を聞きつけた。その真相を確かめるべく、自宅に突撃してみたー。

500以上の観葉植物と暮らす女性

アーティストが犇めく(ひしめく)ブルックリンの中枢部に、彼女の自宅兼オフィスがある。取材場所としてそこを訪れた筆者は、あまりのインパクトの強さに驚いた。

扉を開けるとそこには、部屋中いたるところに観葉植物が並べられている。文字通りジャングルのような部屋を目の前に、取材班一行はあっけにとられていた。

「500以上(植物が)あるわ。気が付けばこんなに沢山の植物に囲まれて暮らすことになっちゃった。」

さらりと笑顔で答えながら出迎えてくれた彼女こそ、家主であり世界で初めて「エコモデル」の地位を築き上げた女性、Summer Rayne Oaks(サマー・レイン・オークズ)である。

世界で初めてエコモデルの地位を築いた。

そもそも「エコモデル」とはなにか

「エコモデル」とは、モデル活動を通して環境問題を唱える事である。例えば彼女がこれまでエコモデルとして行ってきた活動を挙げてみると、アメリカで人気のファストシューズ専門店「Payless」とのコラボレーションプロジェクトがある。

安価なプロダクトが売りの同ブランドが、オーガニックコットンやリネン、ヘンプといったグリーンファッションに特化した商品を販売するにあたり、商品のイメージモデルとして、サマー・レイン・オークズを採用。商品のイメージとモデルの理念が一致することで、これまでファストファッションの印象が強かった同ブランドに、グリーンファッションのイメージを植え付ける事を可能とした。

企業の理念を反映するアイコンモデルとしての役割以外には、ビジネスコンサルティングも行う。エコという概念を軸に、さまざまな取り組みを率先して行うモデルの事を「エコモデル」という。

モデルとして環境問題を定義する意味

元々モデル業界とは全く縁のない生活を送っていた彼女。学生時代は環境問題と向き合うために、水質汚染について専攻していた。

そんな彼女を、彼女の友人は理解してくれなかった。自分が熱心に勉強し向き合っている環境問題について、仲のいい周囲の友達は一切興味を示そうとしない。

ーどうしたら、彼女たちの関心を環境問題に向けることができるだろう。

それもそのはず、思春期の女の子たちの興味は堅苦しい環境問題より、メイクにファッションに、そちらの関心で忙しい。

そこでオークスはひらめいた。堅苦しい環境問題もファッション業界のような華やかなイメージを抱かせることが出来れば、同年代の若者の関心を集める事ができるかもしれない。特に、ファッション業界はイメージが重視される、マーケティングに長けた業界である。ファッション業界で勝負しよう、オークスは決意を新たにした。

だが、いざ業界に足を踏み入れると決心したはいいものの、当初はどうしたら良いのか具体的な考えは一切持ちえない。コネクションや、横の繋がりが特に求められるファッション業界。何も繋がりの無い彼女が、どうして溶け込むことができるのかー。

悩んだ末に出した答えが、モデルという職種だった。

元々整った顔立ちに、高身長なスレンダーな体型。「とっても綺麗なんだから、モデルになるべきよ!」友達の一押しで、モデルとしてファッション業界に踏み込んでいくことを決めた。

自身のモデル活動を通して、華やかなファッション業界に環境問題の大切さ、「エコ」という概念を浸透させることが出来るかもしれない。

存在しないところに新しいものを存在させる厳しさ

だが、実際に彼女が活動を始めた10年前は、(今でこそサスティナビリティが重要視される傾向にあるファッション業界だが)ファッションとエコロジーの結びつきなど、企業にも、消費者にも概念が存在し得ない。

彼女がモデル活動を通して環境問題を提唱しても、”可愛い女の子のたわごと” としか認識してもらえず、チープな意味で「エコモデル」と揶揄された。

学生時代から水質汚染などの問題に真剣に取り組んで勉強していた彼女だからこそ、表面的な意味で「エコモデル」と認識されることがたまらなく嫌だったという。

そんな憤りを胸に抱きながらもモデル活動を続ける事7年ー。少しずつ、業界が動き始めた。

2009年頃から、ルイヴィトンをはじめとしたファッション業界の重鎮たちが「エコ」の大切さに気づき、それをきっかけに様々なブランドがサスティナブルに注目し始めたのだった。

「7年よ、7年もかかったのよ。ようやく全ての事が動き始めたの。そこからかしら、私の活動の需要が増えていったわ。」

今でこそ、エコモデルとしての活動以外にも、著書の執筆活動や様々な健康に関するプロジェクトのコンサルティングなど活動の幅を広げている彼女だが、7年もの間一つの事を唱え続ける事は安易なはずがない。

「これまで色々な活動を行ってきたけれど、一番大変だったのは、何もないところに何かを確立させることね。だって、そこには誰が見ても、何も存在しないのだから。存在しないものを人々の中で存在させるのよ。想像してみて?わかるでしょ、とっても根気のいることよ。正直、私にとってそれ(環境問題とファッション業界を組み合わせること)はとても挑戦だった。同時にとても興味深い取り組みだったわ。初めは全ての事がプロジェクト単位で始まるから、それをビジネスとして確立させるまでには、少なからず時間を必要とするのよ。」

500もの植物に囲まれながら、終始リラックスした空気感で行われたインタビュー。

淡々と話す彼女の姿勢から、自分が良いと思ったものを「シンプルに貫き通す」大切さを学んだ。

7年という歳月をかけて業界に新たな価値観をもたらした彼女の活躍は、毎日多くの情報に翻弄されている私たち現代人の生活を見つめなおすきっかけを与えてくれるー。


【Summer rayne oaksのこれまでの活動紹介はこちらから】

http://www.summerrayne.net/design/

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