死を意識したことはあるか。人生における「取捨選択」の必要性を語る

「3年前まで私、グローバルニートだったんですよ」

そう話す彼女は、現在世界30ヵ国に対応する外国語対応人材キャスティングサービス「マルチリンガルキャスティング」を運営する起業家だ。

世界一周を通して痛感した「搾取構造社会」をなくすため、彼女が掲げる次世代のライフスタイルとは?

周囲の期待に応えようとしていた学生時代からの脱皮

ー恵比寿が似合いますね!

ありがとうございます。でも、元々は大阪出身で。母が京都出身で、京都式で育てられて(笑)結構厳しい家だったんですよね。そういうところで育って、25くらいまでずっと関西にいて。

今回ご指定頂いたカフェEBISU FOOD HALLの入口

ーわ!その割にまったく関西弁出ないですよね。それはこっちに来て。。。?

あ、それは母の方針であまり関西弁が出てほしくないからって。そんな感じで本当にかなり厳しく育っていたんですけど。大学時代もずっと着る服も、あーしろこーしろっていうのが多くて。親が工場関係の仕事をしていたので、本当は文系科目の方が得意だったのに、理系の工学部に通っていましたし。今考えると、大学までは、家族や周りが求める自分みたいなものを意識して歩んでいたなと思います。

だからこそ、いまは自由とか自分が好きな事をやるとかについて私自身が凄く貪欲ですね。昔は好きな事と仕事を分けて考えていたんですけど、例えばファッションやクリエイティブなことが好きだけど、そういうクリエイティブなことって、才能がある一部の人しか出来ないと決めつけていたり。でも、就職活動の時にそれってすごく時間の無駄だと気が付いて。色々と見ていくうちに、仕事とか自分のしたいことを一緒にしてもいいんだと思えるようになりました。

ーなるほど。人生一度切りですもんね。結局卒業後はどちらに入社されたのですか?

もともと通販のカタログとかを見てライフスタイルの疑似体験をするのが好きで(笑)通販の中の人になりたくて、ニッセンに入社しました。3年ほど在籍していたのですが、3年経過したあたりからぼんやりとキャリアアップを考え始めたんですね。自分が本当に人生を通してやりたいことって何なんだろうってふいに思いはじめて。もちろん仕事は好きだったのですが。

ー本当にやりたい事。

でも、考えながら気がついたんですね、当時の私の頭で考えて出した答えじゃダメだなって。好きな事をするためにニッセンという会社に入社したのに、100%の気持ちで仕事に向き合えてない。(その事実が)何故だかすごく中途半端だなと思ったんですよ。

私の本当にやりたい事って改めて何なんだろう。

その答えを見つける為に、自分がレベルアップする必要があると思いました。レベルアップした後の頭で考えたら、その答えが見つかるかもしれないと。だから、自分がやりたいと思っているけど、大変そうだから逃げていた事に挑戦してレベルアップすることを決めたんです。

ーそれは何だったのでしょうか。

それは、私にとっては世界一周でした。父が若い時に世界を放浪していてよく話を聞いていたので、私も大人になったらいつか行くもんだと思っていたんですけど。実際は行ったことがなかったんです。大学の授業があるから、お金がないから、周りが心配するから、とかいろいろと言い訳を並べて。本当は一歩踏み出すのが怖かっただけなのに、都合のいい言い訳を並べて後回しにしていたんですね。

だからこそ、今しかないと思いました。今逃したら、また都合のいい言い訳をつけて一生行かないだろうと。なので、世界一周を決めてから半年もかからずに行きました。

人生とは取捨選択、選択すべてに意味づけをする

ー世界一周いいですね。よく行く前と行ったあとだと考え方が180度変わるとか聞きますが、その経験を通して華子さんご自身が一番学んだことってなんですか。

自分に必要なものを取って、必要じゃないものを捨てていく、これを徹底的に行うことの重要性を知ったことですね。

例えばなんですけど、今日来ている服とか靴とか、なんで私に会いに来ようと思ったとかって、自分で何か説明できますか?(取材男性スタッフに向かって)

ーえっと・・・服は単純にそこにあったものを着てきて・・(特に理由もないので返答に困る)

私は自分が身に着けているものとか、持っているものとか、近くにあるものとかに全部に意味付けをしているんですね。服も、靴も。実際細かくてめんどくさいことなんですけど、全部身に着けたアクセサリー、契約している事務所も家もすべて、自分にあっていないな、意味付けできないなと思ったら変えていきます。これは徹底していることで、ちょっと「うーん。。」と思ったら手放すようにしていますね。

ー本当に細かいところからですか?

そうです(笑)無駄なものをもたず、自分が100%いいなと思うものだけを選択するようにしています。そうすることで自分の心がすっきりするし、無駄な体力がとられないんです。

ー凄い勉強になります・・・。昔から無駄なものは持たない人だったのですか?

いえ、そう意識し始めたのは世界一周をはじめてバックパッカーをした時からです。それまではむしろ「もしかしたらこんなことがあるかもしれない」とかを考えてしまって、荷物が減らない人だったんですよね。でもバックパックとなると、大量にものを持っているってかなりシビアなんですよ。そもそもそれが体力を奪っていたりして。実際に必要なものを吟味してみると、圧倒的に余計なものが多かった。

だからこそ、持っているものには必ずに意味付けをして、コンマ1秒でも疑問に思うものは手放すようにしています。昔って、ものを持たないといけないっていう時代だったと思うんですけど、今はものが溢れすぎているので、捨てる作業が絶対に必要だと思っていて。

ゴールを明確にする事で無駄を省き、死から逆算した人生を考える

ー捨てる作業。確かに現代人にとっては必要な作業かもしれないですね。

ものだけではなくて、捨てる作業って人生においてもかなり大切な考えだと思っていて。

ー人生においてですか?

人生って終わりがあるじゃないですか。だからこそ、どう生きるかっていうのを考えた時に、皆「生きる」ということにフォーカスして語ると思うんですけど、私は「どう死にたいか」を考えるんですよね。

人生って山を登っていくイメージだと思うんですけど、私はいずれ山頂があるなら、そのゴールを意識して今何をすべきか考えると、必要なものが明確になると思っていて。で、私にとってゴールはお金とかではないんです。お金だけじゃなく権力とかもそうですけど、皆そこをゴールにしてることが多いですけど、本当に大事なのはそれを使ってどうするかじゃないですか。

私はお金持ちになる事ではなく、常に新しいことに挑戦できたり、挑戦し続ける人になりたい。挑戦を通して周りの人を喜ばせていたいし、周りの人と楽しく過ごしたい。そういう軸が明確にあるので、それを叶えてくれるというか、そういう生活をするってなったらどういう人と働いて、どこに住んで、何が必要なんだろうって考えてみると、改めて私には多くのものって必要ないよねと思うし。

ー人生が限られているからこそ、死から逆算して自分の必要なものを取捨選択していくということですね。

はい。そのように人生を考えた時に、やっぱり自分にとっては世界一周の旅がターニングポイントではあったので。1つの場所に定住するのではなくて、色んな人にあって色んな所に住んで刺激を受ける事がいいなと思ったりして。そういう生き方を可能にするためには、どういうライフスタイルを貫くのがいいのかということを、ずっと考えて、設計して。その上で、今している事業(マルチリンガルキャスティング)を運営することがそれを叶えるためには最適なので、そうしている、という感じですね。

オフィスが恵比寿にあるため、このフードコートはよく利用するそう。

世界中どこにでも行くことが出来るのはあたりまえではない

ー本当に考え方が潔くてかっこいいです。世界一周中にこれだけはやってやろう!みたいに意識していたことってありますか?

心がけていたのは、とりあえず人に会いまくる事ですね。本当に心からやりたいことをして生きている人が、どういう価値観とか考え方をして生きているんだろうっていうのにすごく興味があって。会って話を聞くみたいな。片っ端からアポイントをとって、片っ端から会いに行って・・・行った先で友達を作って何日も泊まらせてもらうなんてこともありましたね。笑

ーこれまた凄い行動力・・・。実際に世界一周で何ヵ国訪れたのでしょうか。

ちょうど3年前の今頃帰国したのですが、40ヵ国行きました。出会った国籍でいうと100ヵ国くらい。本当に色んな人に会って、話をしました。

ーその中でも印象に残っているエピソードはありますか?

特に印象的だったのが、インド人の友達だったんですけど、私に「すごい応援しているし、とっても羨ましい」って言ってくれたんですね。でも、その子もよく仕事で海外出張とかいっているので「あ、別に行ってるじゃん海外」みたいいな話をしたんですよ。お金とパスポートと勇気があれば行けるよっていう話をしていたんですけど。

でも、その子に「いや、僕のパスポートではそんなに自由に旅ができない」っていう話を言われて。その子は努力もしているし、頭もいいのに、そういう子でも行ける国や選択肢が本当に少ないというのは知識では知ってはいたんですけど、やっぱり直接言われると、急に心に刺さって。

それまで私は「お金とパスポートと勇気があればいける」なんて軽々と言っていたんですけど、それは日本人っていう、自由にどこでも旅行できるパスポートを持っている前提で、頑張ったら達成できることっていうものであって、世の中にはどれだけ頑張っていても才能があっても無理なものは確かに存在しているっていうのを友達との会話を通して知って、知ったときはかなり辛かったですし、何もできないこの現状に憤りを感じました。

人材のフェアトレードで世界中の格差をなくす

ーその時の原体験が今の事業を始めるきっかけとなったのでしょうか。

そうですね、その事実を知った時、そうした格差を解消したいなと思ったと同時に、日本でもそうした格差に対する憤りを感じた事を思い出しまして。元々世界一周に行く準備期間中に東京モーターショーとかのイベントのお仕事をしていたのですが、一緒に働いていた子に今までのキャリアを伝えると、「早く足洗ってまともな仕事に就いた方がいいよ」って言われたんですよ。「見た目や若さ以外に売れるポイントがないから(稼げるし)この仕事をしているけれど、若い子が出てきたら私たちは使い捨てだから」って。

イベントの仕事で働いている女の子たちって将来芸能人になることを夢見ている子が多いんですけど、そういう若い女の子を都合よく利用してお金だけ搾取する悪徳エージェントも多くて。登録だけで何ももらえないのに、数十万とったり、ほぼタダ働きみたいな事をさせたり。

さっきのインドの友達の話もそうですけど、そういう格差が生まれるということに対して我慢ができなかったんですよね。格差を解消することで、頑張っている人達を助けたいなと思って、今の事業を始めることを決めました。

ー搾取構造をなくすことで格差を解消するー。素敵なミッションですよね。事業の取り組みを教えてください!

今していることは、MICE産業といわれるイベント展示会、カンファレンスにて人手が必要な企業に対して、外国語を話すことが出来る人を1日からのスポットで紹介するサービス「マルチリンガルキャスティング」を運営しています。


従来こうした人材紹介は依頼する企業と働く人の間に何社も別会社が入っており、多重構造ゆえに、企業から働き手へ支払われる金額が、最初企業が支払った4分の1しかないという事が多く発生していました。本当に搾取構造は最悪で。

だからこそ私たちは人材のフェアトレードを心がけていて、働き手にしっかりと還元されるようにしています。例えば企業からクライアントに支払われる額が大きければ、働き手に渡る金額が大きくなるようなシステムになっています。

※MICE産業について:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/MICE

ーサービス認知の為に何か行っていることはあるのでしょうか!

実はそうした認知の為の営業活動を一切行っていんです。基本インターネットの問い合わせか紹介ですね。(まだこの事業を行っている会社が少ないという理由からか)リピート率が8割以上なんですよ。今まで利用してくださったクライアントの方がまた声をかけてくれたり、他のクライアントを紹介してくれたり。

ー本当に必要とされているサービスだからこそ、口コミで広がるのですね。人材のマッチングは人を扱うので大変かと思いますが、事業を運営する上で気をつけていることはありますか。

会社名が「トライフル」という名前なのですが、イギリスに「トライフル」という名前のお菓子があるのですね。イギリス英語で「つまらないもの」っていう意味なんですけど、ちょっと変わっているお菓子で。スポンジとかフルーツの切れ端を集めてクリームで固めて作るお菓子で、もともと冷蔵庫に残ったもので何かできないかなっていうことで、1つのケーキみたいに固めてできたのが由来で。

トライフルイメージ画像


私が働くときに思っていることって、これにすごく近いと思っていて。「私」「クライアント」「働く人」含めてどうやって一番いいものが作れるか、これを常に考えて意識しています。人を紹介するサービスなので、正解は何一つないんですよね。

あるスタッフがAっていうクライアントさんにすごく気に入られて何回もリピートされたのに、Bっていうクライアントからは二度とこないでくれって言われることもあるくらいで。

ー会社名の由来を初めてうかがいましたが、働き方や考え方にも通じていたのですね。最後に事業の今後のビジョンを教えてください!

(人材のフェアトレードという考えから)世界中の人が世界中の人を簡単にマッチングできる、且つ働き手は、どこにいてどんな状況だとしても、ビザなどの条件を満たしていれば1日からでも働くことができる、能力に見合った給料を受け取ることが出来るそういう事があたりまえな社会を実現することです。

この流れが一般的になると、働き方も絶対に変わってくると思うんですよ。これまで我慢していたり、不利な条件で働いていた人が、そういう働き方を選択しなくなるので。(そうなると)企業もしっかりと給料を支払わざる終えないし、これまで搾取してきた人は仕事を続けれらなくなる。会社として事業を通して最終的に実現したいことは、人の生活を変える事ですね。考え方とか生き方とか。

ふんわりとした見た目とは裏腹に、考え方はシンプルでスッと軸があって潔い。そんな華子さんに取材班はメロメロでした。


株式会社トライフル

https://www.tryfull.tokyo/about-us

マルチリンガルキャスティング

http://multilingualcasting.com/

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