家を動かすことで既存の社会システムを変えていく。定住も移動も選べる新しい「家」の在り方

社会活動家でもあり、起業家でもある青木大和さん。

「みんなのスタートラインを揃えたい」というビジョンを掲げる彼は、なぜ政治的活動から起業家の道に進んだのか。

青木さんの過去・現在・未来のお話を、彼らが手掛けるコミュニティハウス「アオイエ」がある松陰神社駅前のいきつけのお店「マルショウ アリク」でお酒片手に語ってもらった。

マルショウアリク
住所:東京都世田谷区世田谷4-2-12 
営業時間:火~日 17:00 – 23:00 (月曜定休日)
公式サイト:https://www.facebook.com/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6-%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%AF-520447511400431/

牡蠣で有名なお店の外には、大きい牡蠣のオブジェが

コミュニティは社会を変える力がある

ー最近は取材を断られていたそうですね。今回も久しぶりだとか。そんな中でお時間取って頂けてありがとうございます。まず簡単に、青木さんのご経歴を教えてください!

僕は15歳でアメリカに行って、その時がちょうどオバマ大統領の選挙が終わった後でした。そこでは、若い人達が政治に主体的に関わって議論をしたり、自分で発言している背景があるところを目の当たりにして、すごく刺激を受けたんです。そういう環境を日本にも作りたいなと思って、帰国後に「僕らの一歩が日本を変える(http://boku1.org/ )」を掲げたNPO法人を立ち上げました。立ち上げ後は、18歳選挙権推進といった活動をずっとしていましたね。現在はそのNPOの代表は降りているのですけど。

ー代表を降りているのですね。せっかくご自身で立ち上げたNPOの代表を降りた理由はなんだったのでしょうか。

2014年12月に日本で選挙があったんですね。その時に、すごく問題意識を持って「どうして解散するんですか?」というウェブサイトを立ち上げたんですよ。単純な好奇心で小4になりすましてサイトを作ったら、それが大炎上してしまって。NPOは何も関係がなかったので、その責任を取る形で辞任しました。僕は代表を降りましたが、現在も団体としてNPOは存続しています。

当時を振り返る青木さん

ーなるほど。そのような経験をされていたのですね。

代表を辞任してから2年もの間、ずっと1人でした。引きこもっていましたね。起きて、ゴロゴロして、ネットサーフィンして、プロ野球中継見て、寝る、この繰り返し。

1年くらいそういう生活をした後に、そろそろ自分の足で歩かなければと思い、アジアを旅するようになりました。当時は台湾や香港で若者のデモや政治参加の動きが広がってきていたので、それを直接見に行っていました。

実際に足を運んで彼らの活動を見ていると、彼らの活動の根底には「コミュニティ」が存在していることに気がつきました。そしてその「コミュニティ」には、社会を変えていく力がある。そのことを知った時、「自分でまた何かやりたいな」と思うようになりました。人が集まる場をつくって、個々がそれぞれにやりたいことに向かって挑戦できる場にしていきたいなと。

ーなるほど、現在のコミュニティハウス事業「アオイエ」の立ち上げは、当時のそうした経験が繋がっているのですね。

はい。2016年に世田谷区の下北沢で、一軒目のシェアハウス「アオイエ」を立ち上げました。

ー「アオイエ」という名前にはどのような意味が込められているのでしょうか。

青い絵をカタカナにして、アオイエです。英語にするとブループリント、日本語だと青写真。まさに僕らはまだ何者でもないけど、ここから青写真を描いていこうという世界観を掲げてつけました。

自分で何かを成している人も、最初はみんな、何者でもないじゃないですか。当たり前ですけど、人間みんな最初は何者でもないところから人生がスタートするわけですよね。まだ何者でもない若者がアオイエに来て、青写真を描いて羽ばたいていくのを応援したい、そんな意味を込めています。

加えて、1軒目のシェアハウスの屋根が、たまたま青色だったんですよ(笑)青い絵から青写真、青い家、二つの意味を組み合わせて「アオイエ」と名付けました。

ー素敵な由来ですね。そんな思いから始まったシェアハウス「アオイエ」ですが、昨年法人化されたと聞きましたが。

はい。もう少し規模を大きくしたいという思いから、昨年9月に「アオイエ」を法人化しました。現在はコミュニティハウス事業に加えて、バスハウスという移動式住居の事業の二つの事業を展開しています。

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全ての人に光が当たるよう、あえて審査基準は設けない

ーそうだったのですね。それではまずは、コミュニティハウス事業について教えてください。既存のシェアハウスとの違いはなんでしょう。

既存のシェアハウスと僕らのシェアハウスの違いとしては、「自分の夢を持った若者を応援したい」というコンセプトに基づいて運営している点です。

ー夢を持った若者を応援したい、例えば入居審査において、何か特別な取り組みをされているのですか?

入居審査は、僕が一人一人面談をしています。

ー青木さんがおひとりで面談されているのですか。組織として今後入居審査をマニュアル化していく予定は?

これは社内でも明確にしてほしいとは言われているのですが(笑)僕はあえて言語化しないでいきたいなと思っていて。

言語化をしてしまうと、わかりやすく結果が出ている人が評価される世の中になっちゃうと思うんですよ。入社試験とかそうだと思うんですけど、学生時代何を成したかみたいな。例えば人生100年と考えると、コツコツやって80歳で芽が出る人もいると僕は思っていて。反対に僕とかは、自分でいうのもなんですけど早く芽がでたというか、早いうちからチャンスを色々もらえたりして。人生には人それぞれの波があって、上手く行く時もあれば、いかない時もある

その人の人生を言語化して「何点」みたいに点数化してしまうと、いまはコツコツやる時で、自分の小さな想いを大切に生きている人だとしたら、そういう人を拾い上げる事が難しくなってしまう。僕はそういう人も拾い上げたい。だからこそ、言語化して点数化せずに、僕が一人一人と面談をして、一人一人の小さな想いを聞くようにしています。

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京都にはアカデミックコミュニティハウスを

ーなるほど、そのような入居審査を行っているからこそ、現在の「アオイエ」には理念に共感した人が集まって、濃いコミュニティが生まれているのですね。

ーところで、現在物件数はどのくらいあるのですか。

東京に6物件、京都に3物件です。

ー京都にもあるのですね、なぜ京都を選ばれたのでしょう。

僕らゆくゆくは全国に広めていきたいんですけど、その第一歩として京都を選んだのは、突き詰めて学問をやっている子たちが多くてアカデミックな街だからです。京都の子たちってすごく魅力的なんですよね。そういう学問を突き詰めている子たちを集めて住んでもらうことで、学問のコミュニケーションが取れて文理の融合・横断が生まれたらいいなって。

僕が大事にするコミュニティでは、「何か1つが正しい」みたいなものを決めたくないんです。皆がそれぞれ何に挑戦していても、どんなものが背景にあっても、それはそれで光るものだと思っているので。学問に挑戦するコミュニティがあってもいいじゃないかということで、京都に作ったという感じですね。うちの場合は、東京も京都も住人皆が入ってるLINEとかslackがあって、そこでオンライン上のコミュニケーションもあるので、実際に住んでる家以外にも親戚がいるみたいな、オフラインとオンラインの融合をうまく作っていきたいなと考えています。

ーアカデミックなコミュニティハウス、面白そうですね。

そうですね。あとうちは9拠点ある「アオイエ」のどこか一か所に寝泊まりしていれば、別の場所では無料で泊まることができるんですよ。だから、京都の子が東京の「アオイエ」に泊まったり、逆もしかりで、夏は東京の子が京都にあそびに行ったりしてますね。

お金にもコミュニティにも縛られず自由に移動できる世界をつくりたい

ーアオイエというコミュニティを軸に、東京や京都を自由に往来できるのは素敵ですね。個人的に今後はそのような「多拠点生活」を送る人が増えてくると考えているのですが、もう一つの事業である移動式住居事業も、その考えに紐づいているのでしょうか。

その通りです。コミュニテイハウスを作っていく中で、現在「アオイエ」で暮らしている子たちは決まったところに出社する概念がないので、固定された場所に住まなくても生きていけるし、暮していける子たちが一定層いることに気がつきました。

彼らは今は珍しい部類とはいえ、今後10年、20年でそうした子は増えていくと思っています。そうなった時に、現在の不動産の形態のままだと、家を借りるためには敷金・礼金が発生するので金銭的制約が生まれざる負えない。

僕はそこをもう少し民主化というか、(お金的な制約を取り除くことで)自由に色んな場所で暮らす事ができる社会を作りたいなと思っていて。そうした思いから、バスハウスという移動式住居を手掛けて作っています。

ー人がお金に縛られずに、自由に移動する世界を作っていきたいと。

若い人が一番お金をかけているのが家賃などの生活費なので、そこを軽減するためにアオイエをはじめました。これから先は国という概念が無くなって、人々が地球という軸で移動していくと思うんですよね。

ー国に縛られない、地球市民という感じですか。

なんだろう、遊牧民的な、自分が抱く理想を追い求め続ける感じ。人類皆が冒険するみたいなことだと思っていて。アオイエで各物件を移動できるようにした理由とかもそうなんですけど。

既存の社会って、まずコミュニティが縛られているじゃないですか。例えば「自宅」「学校」「部活」「塾」みたいな。今の社会ってそこで一度でもうまくいかなくなった場合に抜け出す手段って殆どないんですよ。僕は嫌になったら抜け出せばいいと思っているので、その移動先をたくさん作りたいなと思っていて。人生って良し悪しの波の周期があるので、「この瞬間はここがいいけど、あの瞬間はあそこがいい」みたいな変容もありなんじゃないかなって。

その波に合わせて人も移動すればいいんですよね。

皆が人生の居心地の良さみたいなものを常に求めている中で、皆が皆動き続けろ!っていうのを言いたいんじゃなくて、ある時は移動する人もいるけど、ある時はめちゃめちゃ落ち着くから定住する人もいるという、融合、グラデーションみたいなものがあるべきだと考えています。

そこに国という概念は関係ないですね。

様々な人のサインが書かれた同店の壁

家という視点から社会システムに提言する

ーアオイエが目指している世界は、weeeksが目指している世界ととても近いですね。

そうかもしれません。一方で、各国の政治制度は国家っていう枠組みをすごく大事にしているわけじゃないですか。例えば僕の周りとかでも、年の半分以上はアジアで仕事してるとかそういう日本人は最近増えてきていますが、今の選挙とか政治制度って、基本的に住民票に紐づいていて、投票権が与えられてという感じで(国家という枠組みに依存している)。

もうFacebookやGoogleとか、国家を超える規模の組織が出てきて、AirbnbとかUberといった人が移動する可能性を後押しするツールも普及してきたのに、なんでその(国家という)システムは変わらないんだろうっていう不思議さがあって。

今後20年くらいでそういう疑問を持つ人たちが現れると考えていて、そこを僕らが頭ごなしに「そんなの非国民だ!」って言うんじゃなくて、「じゃあ、そしたらその制度に合わせた政治制度とか、社会システムを考えないといけないね」っていう価値観の変容みたいなものを作っていきたいと思っています。

バスハウスを手掛けているのは、家が動くことで(もしかすると)社会制度とか社会システムが変容していける可能性があるんじゃないかなと思っていて、そこに興味があるからですね。既に現在バスハウスの話をすると、住民票はどうするの?納税先はどうなるの?選挙権はどうなるの?というような声が、疑問としてあがってきています。将来的にはそういうことを皆で考えて、議論できるような状況も作っていけたらいいなと思っています。

アオイエなら定住も移動も選べる

ー人が移動することに興味を持った原体験とかってあるのですか?

僕、実家にもともとキャンピングカーがあって幼少期によく移動していたんですよ。色んな場所に行ったりして、それは自分的にすごく居心地がよかったというか。あと、根本的に多動症なので、あんまり一つの場所にいれないっていう。。

ーなるほど、そうした背景から、現在アオイエでは “人が自由に動けて居心地の良い場所を探せるツール” として、「コミュニティハウス」と「バスハウス」の二つの事業展開をしているのですね。

はい。人によっては、移動したいときも、定住したいときも両方あると思うんです。僕らはその選択肢を作っていくべきだと思っているので、定住型も作ってるし、移動型も作ってるっていう。

現在僕は会社を経営している身なので、定住をしている方が仕事的に効率は良いですし、アウトプットを出す上で合理的なので(定住を)選んでいますが、将来的に、僕は移動して暮らしていたいなとも思っています。すごい自由が利くならば、2年くらい自由に移動していたいですね。

その感覚って人によって違うと思うので、移動を強要するつもりはなくて、選択肢の幅を僕らは作りたいなと。

人生とは、「夢を描き続けること」

ー選択肢を広げる、とても素敵ですね。二つの事業は人々の人生の選択肢を広げる事に繋がっていると思うのですが、青木さんご自身にとって人生とはなんでしょう。

人生とは、夢を描き続けることです。

夢は必ずしも持つ必要があるとは思わないんですけど、好奇心とかって、結局考えていくと夢につながると思っていて。自分の心の底で思っている、小さい種みたいなものを大事にしてほしい。その種は時間が経つと、夢になったり、形になったりするんじゃないかと考えています。そこを潰さずにしっかりと光を当てて、誰しもが胸を張って生きる事ができて、そして夢を追いかける事ができる、そんな社会にしていきたいですね。

ー熱いですね、ありがとうございます。

こちらこそありがとうございました。

ーところで熱いと言えば、高校野球、今年も白熱でしたね。青木さんは大の野球好きということで、直接見に行かれていたとか。

そうです。

ー青木さんの熱い想いを聞きたい人、野球好きな人を集めて、1週間ルームシェアしてみませんか!

あ、いいっすね!ぜひやりましょう!(笑)

野球好き集まれ!青木さんと1週間ルームシェアしてみよう

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